【お骨上げはなんのため?】ペットのお骨上げをする意味と方法

ペットを火葬した後、火葬プランによってはご遺骨を骨壷に納める『お骨上げ』を行います。死者の魂を天国へ導く大切な行為ですが、実際に詳しい意味や方法はご存知でしょうか?意味を知らず、ただ必要だからという理由でお骨上げしてしまったらなんの意味もありません。お骨上げの知識を身につけ、ただの作業から大切な儀式へと変えましょう。

今回はお骨上げの意味や方法について解説していきます。

目次

ペットのお骨上げの意味

お骨上げとは、箸でご遺骨を骨壷に納める行為ですが、そもそもなぜ箸を使うのでしょうか。まず始めに、お骨上げそのものの意味から見ていきましょう。

お骨上げはあの世への橋渡しの意味がある

お骨上げは基本的に箸を用いて行いますが、これには『死者の魂が三途の川を無事渡れるように』という意味が込められています。箸を用いることで、あの世とこの世の橋渡し(箸渡し)をするわけですね。

子供のころ、食事をしている時に箸渡しをして「箸渡しはいけません!」と怒られたという方もいるかと思います。これはこの橋渡しから来るもので、『橋渡し=死者に対して行うもの』という事で、生者である私達がやってしまうと縁起が悪いからという意味だったのです。

お骨上げに違い箸を用いる理由

お骨上げは『左右の長さが違う箸を用いてお骨を拾い上げ、骨壷に納める』行為の事ですが、なぜ長さが違う箸を用いるのでしょうか。

この箸は違い箸と呼ばれるもので、普段であれは間違わない限り絶対にしないものですよね。これは、『この世とあの世(生と死)は逆のものであり、それを区別するため』という意味です。また、『あえて非日常的な行動をする事で、不幸が繰り返される事のないように』という思いが込められているという説もあります。

【逆さごと】という風習で、違い箸以外にも逆さ水や逆さ着物などもこれに該当します。

関東と関西の違い

あくまで人間のお葬式のお話ですが、関東のお骨上げと関西のお骨上げでは方法がまったく違うという事を知っていますか?

関東では大きめ(7寸程度)の骨壷が用意されていて、そこに頭蓋骨から足の先までの全ての骨を納めていきます。そして最後にご遺骨の粉まで集めて入れるため、ご遺骨はほぼ残されておらず、骨壷に全部納められている形になります。

対して関西では小さめ(2寸〜5寸程度)の骨壷が用意されていて、頭蓋骨から足までの重要なお骨のみを少しだけ納めます。また、ご遺骨の粉も入れない場合が多いです。つまり、ご遺骨はほぼ残っている状態であり、残りのお骨は供養した後に、予め決めていた場所に埋葬されます。

ペットのお骨上げの前の事前知識

お骨上げの意味について見たところで、次はお骨上げをする前に覚えておきたい知識について見ていきましょう。

お骨上げが出来る火葬方法

そもそもお骨上げができない火葬があります。それは、他の人のペットと一緒に火葬する【合同火葬】です。この方法は、どのお骨が誰のペットの物なのかが分からなくなるため、お骨上げができず、そのままスタッフの手で埋葬されます。また、同じような理由から市役所などの行政による火葬でもお骨上げができません。

また、自分のペットのみを火葬する個別火葬であっても、選ぶプランによってはスタッフがお骨上げをすることがあります。その場合、傾向としては飼い主がお骨上げをするよりも安くなる事が多いですので、自身で行いたい場合は値段だけでなくプラン内容もしっかり確認しておきましょう。

お骨上げには順番がある

意外と知られていない事なのですが、実はお骨上げには順番があります。まずお骨を拾い上げる人の順番ですが、人間の場合は家族や親族など縁の深い人から順番に行います。ペットの場合は、飼い主から始めるのがいいでしょう。

次に拾い上げるお骨の順番です。『前足→後足→尻尾→大腿骨→背骨→肋骨→頚椎→顎骨→頭蓋骨→喉仏』の順番で拾い上げ、骨壷に納めます。因みに、喉仏が最後なのにはちゃんとした理由があり、喉仏の形が座禅を組んでいる仏様のようだからだとされています。

と言っても、基本的にはスタッフがサポートしながらお骨上げをしますので、難しく考えずに「順番があるんだな」くらいの気持ちで大丈夫です。

ペットのお骨上げをする際に気を付けたいこと

お骨を触った経験がないと分かりづらいかもしれませんが、火葬した後のお骨というものは非常に脆く崩れやすいです。人間のお骨ですら気をつけないと崩れるくらいですから、それよりも小さいサイズのペットのご遺骨ともなれば細心の注意を払う必要があります。

特に力の調節が難しいのが頭蓋骨。複雑な構造をしている上に、頭蓋骨の骨にはとても小さなものがいくつもあります。

理解したからといって必ずきれいにご遺骨を納められるという訳ではありませんが、「丁寧に拾い上げよう」と意識するだけでも力をコントロールしやすくなります。もし自信が無ければ、スタッフにお願いする事も考えましょう。飼い主自身がお骨上げをするだけが全てではありません。「きれいな状態で骨壷に納めたい」と願い、そのためにスタッフにお願いするというのも大切な事です。

お骨上げにはちゃんと意味がある

お葬式には死者を弔うという意味があるように、お骨上げにも『死者を天国へ導く』という意味があります。もちろん、飼い主はペットを大切な家族として愛情を注いでいた事でしょう。重要なのは、物事にはちゃんとした意味があり、それを意識する事です。

お骨上げには意味があり、飼い主としてペットへ最後の愛情を示す。そのためにも、しっかりとした知識を身につける事が大事。今回の記事が、そんな知識を得るための一助になれば幸いです。

天国への扉コラム