ペットが食べたら中毒を引き起こしてしまう食べ物について

私たちが普段口にしている食べ物は、当たり前ですが人間が食べても害がありません。しかし、ペットが食べてしまったら中毒になる食べ物は多いです。犬や猫に与えてはいけない物として有名な玉ねぎだけでなく、カカオやアルコールなどもその一つ。

誤食させてしまわないためにも、ペットにとって危険な飲食物についてお話していきます。

目次

ペットと人間は身体のつくりが違います!

自分が好きなものはペットにも好きになってもらいたい……そう思うのはごく自然なことですが、食べ物に関してはそうはいきません。いくらペットが家族のような存在でも、生物としての括りが違う以上、人とペットが同じものを食べられるとは限らないのですから。では、そもそもなぜこのように食べられる物が違うのでしょうか。

実は、私達が普段食べている食べ物にも毒が含まれています。例えば、後述するネギ類に含まれる成分も、多量に食べれば人間でも中毒症状が出ます。しかし、人間はこの成分に対して耐性があるため、よほどの事がない限り美味しく食べられるのです。この耐性があるかないかが、食べられるか否かの一つの基準となるわけですね。

ペットが食べてはいけない食べ物

それではいよいよ本題の、ペットが食べてはいけない食べ物について見ていきましょう。有名な物から意外と知られていないものまで、『食べてしまいかねない』ものを5つほどご紹介します。

ネギ類(有機チオ硫酸化合物)

ペットに玉ねぎを与えてはいけないというのは有名なお話ですが、なぜ与えてはいけないかまではあまり知られていません。実は玉ねぎというよりも、長ネギやにんにく、ニラを含めたネギ類に含まれる有機チオ硫酸化合物が毒となるのです。

有機チオ硫酸化合物は赤血球の中にあるヘモグロビンというタンパク質を酸化させ、赤血球を破壊します。これは人でも同じなのですが、耐性があるため、よほど多量に食べなければ大丈夫。しかし、ペットの場合は少量でも命を落とす可能性がある危険なものです。

注意点として、有機チオ化合物は熱を加えても消失しません。焼いたから大丈夫なんて事はないので、どんな調理をしても食べさせないでください。

主な症状として嘔吐や下痢、貧血、血尿など赤血球不足で起きる症状が見られます。また、症状が現れるまでの期間が長く、数日経過しても兆候すら見られない事もあるため注意しましょう。

エビ、カニ、イカ、貝類(チアミナーゼ)

サザエさんの有名な歌に『お魚くわえたドラ猫』なんて歌詞があるように、猫がお魚を食べる事は珍しくありません。飼い主の中にも、たまのご褒美でお刺身を与えているという人もいるのではないでしょうか。しかし、甲殻類や貝類を与える場合は注意しなければいけません。

甲殻類や貝類にはチアミナーゼという酵素が含まれており、これにはビタミンB1(チアミン)を分解する作用があります。つまり、多量に与えると欠乏症になってしまうのです。

チアミナーゼは熱で失活しますので、どうしても与えたい場合はしっかりと熱処理して、冷ましてから与えましょう。

カカオを含む食べ物(テオブロミン)

チョコレートやココアに入っているカカオ。カカオには苦味成分であるテオブロミンが含まれているのですが、これにはリラックス効果や利尿作用があります。人間にとってはあまり問題ない成分ですが、犬や猫、鳥類などの動物にとっては非常に有害な成分です。

この子たちはテオブロミンの代謝速度が遅く、数十〜数百グラムのテオブロミンを摂取しただけでもチョコレート中毒を引き起こします。

主な症状として過度な興奮、脱水などが見られ、症状が重い時はてんかんにも似た発作が起こる事も。最悪の場合は全身けいれんや心不全によって死に至ります。

アルコールを含む物(アルコール)

人にもアルコールに弱い人がいますが、そういう意味では犬や猫は『とても弱い子』しかいません。彼らの身体はアルコールの吸収速度がとても早く、更にアルコールを分解する酵素を持ちません。つまり、少しのアルコールで酩酊し、アルコールがいつまでも身体の中で悪影響を及ぼすのです。

どれだけの量で酔うかは個体差によるところが大きく、アルコールの匂いを嗅ぐだけで酔っちゃう子もいます。これだけ聞くと「お酒なんて飲ませないよ」と油断してしまいがちですが、アルコールを含むのは何もお酒だけではありません。

特に最近は新型コロナウイルスの影響で、自宅でもエタノール除菌をする人が増えています。そう、エタノールもアルコールの一部なのです。自分が使用する際も、ペットが誤飲しないように十分注意しましょう。

キシリトールを含む飲食物(キシリトール)

天然の甘味料であるキシリトールは、ガムやアメなどのおやつから、虫歯予防効果から歯磨き粉まで大活躍。しかし、ペットにとってキシリトールは猛毒です。

キシリトールはインスリンの分泌を刺激する作用があり、中毒量のキシリトールを摂取すると低血糖症を引き起こします。また、量によっては急性肝不全を起こす事もあり、食欲不振や黄疸などの症状が見られる事もあります。

ペットが間違えて食べちゃった場合

今回見てきた飲食物はどれもペットにとって危険な物です。食べさせないことが一番ですが、もし誤飲誤食してしまったのなら、少量であっても必ず動物病院に行きましょう。食べた直後に症状が見られなくても、数時間後〜数日後に急に出てくる事もあります。

私たちがペットフードを美味しく食べられないように、ペットもまた人のご飯を食べることができません。特に人用に加工されたジュースやおやつは塩分や糖分、その他の栄養価もペットが食べる事を想定していません。少量でも危険な状態になる可能性があるため、ペットの手が届かない所で保管しましょう。

また、手作りご飯を与えている人は『NGな食材』を知るのではなく、『NGな成分』を知るよう心がけてください。例えば「玉ねぎがダメなんじゃくて、有機チオ硫酸化合物がダメ」という具合ですね。食材で判断してしまうと、同じ成分を含む別の食材を与えてしまう可能性があります。

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