ペットも私たちと同様、風邪をひいたり肥満になったり、ケガをしてしまう動物です。唯一私たちと違う点があるとすれば、それは自分で治す手段があるかないかでしょう。薬も病院も、ペットの力だけでなんとかなるものではありません。飼い主がペットの異常に気づき、飼い主が病院へと連れていく必要があるのです。そのためには、何よりも飼い主様がペットの健康管理をしなければいけません。
今回はペットの健康管理と運動の重要性について解説していきます。
目次
1ペットの健康管理の前に覚えておきたいこと
ペットの健康維持は何よりも、飼い主様の知識と経験が大切です。ご飯の与え方や毎日の健康チェックを通して、身体の異常にすぐ気づけるようになりましょう。ここでは事前知識として、ペットの健康維持のために必要なことについて解説します。
1.1ペットの食事は専用フードが一番
飼い主の皆さまはペットに与えるご飯は、いつもなにを食べさせていますか?市販のペットフード、手作りごはん、他にもおやつとしてお魚や干し肉を与えている人も多いでしょう。もちろん、おやつは量を考えて与える分には問題ありませんが、栄養面でいくならば基本的には専用に作られたペットフードが最適です。
動物に必要な栄養素と量は、種類によって大きく変わります。さらに、その中でも年齢や健康状態、身長や体重に応じて細かく量や食べさせ方も変わってくることも考えると、いかに食事はデリケートなものなのかが分かるでしょう。長生きしてほしいならば、専用のペットフードを適切な量だけ与えるのが一番なのです。
また、食べ物関係ではそれ以外にも、自分の飼っている動物の基礎知識も必要です。例えば、犬を飼っている人ならば『チョコや玉ねぎは与えてはいけない』ことは知っているかと思いますが、なぜ与えてはいけないのかまではご存知ですか?【どんな食べ物がダメなのか】ではなく、【どんな成分がダメなのか】を知っておかないと、同じ成分が入っている別の食材を与えてしまう可能性があります。
観葉植物、おやつ、果物や野菜など、私達の身近にあるこれらの中には、ペットにとって猛毒なものも多くあります。少なくても、【何がペットにとって毒なのか】は調べておきましょう。
1.2いつもと違う違和感には要注意
後々詳しく解説していきますが、ペットの健康維持のためにはどんな些細な変化も見逃さずにチェックすることが重要です。特に動物はあまり弱みを見せません。人間であれば、風邪をひいたならなんとなくだるそうだったり、熱っぽいなど分かりやすいですが、自然界で生きてきた彼らは、ギリギリまで平常を保とうとします。
少し歩き方がおかしい、重心の位置が傾いている、なぜか違和感を感じる、どんな些細な事でも、なるべくなら動物病院でしっかり検査する事をおすすめします。もし何度も連れていく事が嫌だったら、獣医師と飼い主で相談だけでも結構です。とにかく毎日の中で変化を見逃さない、これが健康維持の第一歩です。
1.3病気は予防が一番大切
病気はならないように予防する事が一番。ワクチン接種が義務付けられているのは犬の狂犬病予防ワクチンのみですが、他にも混合ワクチンなどの感染症やよくある病気を予防するためのワクチンの接種が強く推奨されています。特に感染症は蚊やダニなど対策しにくい虫を媒介とする病気が多いため、予防対策は万全にしておきましょう。
また、予防接種だけではありません。定期的な健康診断も病気の早期発見には大切です。前項でも触れましたが、とにかく動物は弱みをみせません。自然界で弱みを見せるということは、「私を食べてください」と言っているようなものだからです。そして、その習性はペットとなった今でも残っています。だからこそ、そもそも健康状態を維持するという考えが最も重要なのです。
1.4スマホアプリで効率的に健康管理
ペットの健康を毎日チェックするのであれば、メモは外れませんよね。しかし、せっかくならスマホを活用して、より効率的に記録してみるものおすすめです。
例えば、ワクチン接種や通院などの用事をタスク化して通知してくれたり、食事や散歩距離などのデータをまとめて記録してくれるなど、メモ以外でも便利な機能が搭載されています。家族でデータを共用できるタイプのアプリも多いため、家族でペットを飼っている人はぜひ導入してみてください。
2ペットの健康管理の基礎は運動!
適度な運動は健康の要。肥満対策や安眠効果、ストレスの解消など、健康維持のために必要な要素のほとんどは体を動かす事で満たせるといっても過言ではないでしょう。ここではペットの運動がなぜ健康にいいのかについて解説します。
2.1 日光浴で元気になる
日光浴は健康に良いというお話はもはや有名ですよね。太陽から照射されている紫外線には、カルシウムを調節して骨を丈夫にするビタミンDや、精神を安定させ落ち着かせるセロトニンを増やしてくれる効果があるのです。他にも、殺菌効果もあります。
もろちんこれは、人間だけではなく犬や猫などの動物に対しても同じことが言えます。猫は夜行性ですが、実はちゃんと日光や月の光から紫外線を浴びています。大量に浴びると毒ですが、適度な紫外線は動物が健康的に過ごすには必要不可欠なのです。
2.2 肥満防止と筋肉作り
運動の本質は健全な肉体の構成と維持、どんな動物であってもそれは変わりません。犬は散歩、猫は猫タワー、動物の種類や年齢、体調に合わせた運動量を確保する必要はありますが、適度な運動は健康的な生活のための最重要項目の一つです。
高齢になってくると筋肉も衰え、運動量がだんだんと減っていきます。それでも運動しないと肥満になり、ヘルニアや心臓病のリスクも上がるでしょう。
太り始めたから、お年寄りになってきたからではなく、若く健康的な時から散歩や運動が大切です。もしペットが肥満などの理由で運動を嫌がっていたら、おやつなどで気を引かせてみるのも手です。
2.3 散歩する際の注意点
犬は超小型犬でもない限り、毎日の運動は必要不可決ですが、いくつか注意しなければならないことがあります。
まず持ち物、首輪やハーネスはもちろん、水分補給するための飲み物や汗を拭くためのタオルも持っていきましょう。飼い主のマナーとして、エチケット袋も忘れずに。
次に外の環境。春は毒のある虫がうろつきます。夏の昼間は地面が60度以上もの高温になることも珍しくありません。秋は毒キノコや毒草が生え始めます。冬は氷でツルツルの場所もあるでしょう。春夏秋冬、何らかの要素が危険となって犬を襲います。外出する際は、犬と周りの環境に気を配りましょう。
そして、最後に何かあったら無理をせずに帰宅すること。これが散歩する上で一番大切なことです。
3ペットの健康チェックの方法
過酷な環境で暮らしていた動物たちは、自分の弱みをなかなか見せません。そのため、飼い主がちゃんと身体の異常を見つけれないと、気がついたら重症化していたなんてケースもありえます。普段から健康チェックを怠らず、何かあったらすぐに病院に連れていけるようにしましょう。
ここではペットの健康チェックの方法について解説します。
3.1身体全体を触ってみる
お腹や足、背中、腕、身体の異常は身体が教えてくれます。特にお腹が張っている、足や指先が腫れているなどは分かりやすいですよね。このように、どの部分がどうなっている時が正常なのか、異常なのかを事前に知っておくと、病気やケガを早期に発見できます。痛がっている、嫌がっているなどのリアクションも見ながら観察していきましょう。
例えば犬の場合、お腹が張っていて、食欲も無い場合は腹水が溜まりすぎている可能性が考えられます。腹水の溜まりすぎは病気によって起きていることも多く、危ないものでは心臓や肝臓などの臓器に異常が見られた際にもお腹に水が溜まります。こういう場合は動物病院で診察を受けさせた方が良いでしょう。
このように、身体を触って確かめることで、身体の異常が分かれば対処もしやすいです。
3.2目や耳などに異常がないか確認する
身体に異常がない場合でも、目や耳、口などに異常がある場合もあります。よくある異常を下記にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
・目
充血している、異物が入っている、涙やけが多い、痙攣している(危険)、目が痛そうにしている(危険)
・耳
臭う、怪我をしている、よごれが多い、黒色など明らかに異常な色をした耳垢がある(危険)、飼い主の呼び声に反応しない(危険)
・口
臭う、出血がある、歯垢や歯石がある、粘膜の色がおかしい(危険)
このように、毎日ケアしているにも関わらず異常がある際は何らかの病気やケガになっている可能性が高いです。特に(危険)と書いているところは、重症化すると危ない病気の可能性もあるため、すぐに動物病院に連れていきましょう。
3.3排泄物もしっかり確認
尿や糞など、排泄行為や排泄物でも体の異常をチェックできます。尿は色や量、糞は水分量(下痢かどうかなど)を確認しましょう。
例えば、尿が明らかに多い場合は、腎臓病や糖尿病の可能性があります。特に腎臓病だった場合は厄介で、血液検査でも病気が進行していないと数値に異常が出ません。初期症状は多飲多尿のみなのです。少しでも尿の出し方に違和感があったら、ちゃんと検査させてください。
下痢の場合は、ストレス、誤飲誤食、感染症、寄生虫など様々な原因が潜んでいる事が多いです。ストレスや誤飲誤食は一過性のものもありますが、念のためその後の行動にも注意してください。元気がない、ふらつく、食欲がないなどの場合は動物病院で診察してもらった方が良いでしょう。
4ペットの病気やケガは気づきにくい
ペットはほとんどの場合、人間である飼い主よりも小柄です。小さい方が可愛い、飼いやすいという理由から、特に日本ではその傾向が強いでしょう。しかし、小さければ小さいほど、些細な変化に気づきにくいもの。気が付いたら危険な状態だったということも充分にありえます。
例えば腎臓病がいい例です。初期症状では多飲多尿以外に目立った症状がなく、他の症状が現れた段階で既に腎臓の機能がほとんど失われている……それこそが腎臓病の恐ろしいところ。しかし、定期的な健康診断と尿チェックで早期発見できる病気でもあります。普段からペットの様子を良く観察し、何か異常があればすぐに病院へ、そうでなくとも定期診断には行かせてあげましょう。