ペットを看取る前に知っておきたい知識と適切なケア方法

人も動物も、生きている限り必ず死の時間がやってきます。ペットとのお別れも同じこと、いつかは虹の橋を渡る姿を見届けなくてはいけません。その際にきちんとした対応ができれば、ペットも安心して旅立つことができるでしょう。

今回はペットを看取る前に知っておいてほしい事や、看取るまでのケア方法について解説していきます。

目次

ペットを看取る前に知っておきたいこと

ペットを看取るということは、過ごした時間もお別れの時間もすべて受け止めるということです。そのためには、死亡理由や終末期医療などの辛い事にも目を向けなくてはいけません。ここでは事前に知っておきたいことについて解説します。

ペットの死亡理由の多くは病死

ペットにはなるべく天寿を全うして老衰で旅立ってほしい、そう願うのは飼い主として当たり前のことでしょう。実際にペットの死亡理由をまとめたデータを見てみると、ほとんどのペットはガンや心疾患などの病気で亡くなっているケースがほとんど。特に犬は『悪性腫瘍』、猫は『腎不全』が明らかに高いという結果になっています。

しかし、このデータだけで悲観するのはまだ早いです。というのも、実はこれらの病気を発症するのは高齢期に入ってからのことが多く、更に言えば病気になってからもケア次第で元気に天寿を全うする事もあります。近年は優れた医療技術の影響で平均寿命が延びているという嬉しい情報も出ています。

残念ながら、すべてのペットが天寿を全うする事が出来るとは言えません。しかし、悲しい現実を受け止めて『必死に生きていこう』というペットの意志とそれを支える飼い主や獣医師の存在もまた、紛れもない事実です。

終末期医療ってなに?

ペットの死について学ぼうとすると、ほぼ必ず出てくるのが終末期医療という言葉。これは【重度のガンなどで治すことが出来ない場合、完治させるのではなく生活を支えるために身体的及び精神的なケアをしていく】というもの。ターミナルケアとも言います。

終末期医療では、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)を重視して、病気の苦しさを和らげると同時に残された時間をより充実させることを優先しています。ペットを飼っている人にとって最も辛い時期ではありますが、同時に飼い主がペットのために望んだ事をしてあげられる最後の時間でもあります。

大切なペットが、その子らしい生活を送って満足して虹の橋を渡っていけるように、飼い主がしっかりサポートしてあげましょう。

いざペットを看取る時に焦らないために

家族として愛していたペットの命があと少しだと知って、動揺しない飼い主はいないでしょう。中には、パニックになったり焦って自分でも何がしたいのか分からない状態になる人もいます。しかし、そんな時だからこそペットのために出来る事を少しずつでもやっていくべきです。

酷な話ですが、まだ元気でいる間に終末期医療や病気の時のケア方法について学んでおく事をおすすめします。ペットの死なんて、飼い主からすれば最も考えたくない事でしょう。しかし、必ずやってくるものでもあります。

そもそも飼い主が慌ててしまったら、その緊張はペットにも伝わってしまいます。それではQOLを維持する事なんてできません。自分だけではなく、ペットのために何が出来るのかを意識しましょう。

ペットを看取るまでのケア方法

ペットを看取る前となると、不慮の事故や病気ではない限り高齢期に入っている頃だと思います。手足が不自由な時期に生活の質を維持及び向上させようとなれば、飼い主による手厚いサポートが必要不可欠です。ここではそのためのケア方法について解説します。

肉体面のケア

高齢期に突入したぺットは、肉体面では主に『足腰の筋肉の衰え』『食欲が無くなる』『五感が鈍くなる』などの傾向が見受けられます。そのため、これらに対する適切なサポートが肉体面のケアに繋がるでしょう。

まず足腰の筋肉の衰えには適度な運動をおすすめします。老犬には散歩を、老猫も猫じゃらしなどのおもちゃで運動させるようにしましょう。ただし、少しでも不調が見られるようなら即座に中断し、休ませてください。

次に食欲のお話ですが、これは味覚の鈍化や顎が弱くなるなどの理由からきています。シニア用の専用フードや、今までのご飯をふやかして食べやすくするなどの工夫が必要でしょう。美味しく食べられる状況を作ってあげたら、ペットも食事が楽しくなります。

最後に五感が鈍くなった状態では、部屋の家具の配置や飼い主の存在が重要になってきます。ケガをさせないように、家具同士を密集させないようにしつつ、角があるものにはクッションを取り付けてください。視覚や聴覚なども鈍くなっているので、飼い主の存在に気づきにくい事にも注意しましょう。

精神面のケア

人間もそうですが、歳を取っていくと感情のコントロールが難しくなってきます。それに加えて、五感も鈍いため音や光などに過剰に反応するようになります。そのため、精神面では『ペットにとって危険がない空間づくり』が重要になってくるでしょう。

例えば、窓から差し込む光や影に怯えている場合は遮光カーテンなどで塞いだり、ペットを呼ぶ際の声量に気を付けるなどですね。とにかくストレスを与えないように意識することが大切です。

役所等での手続き

もし犬を飼っていた場合、亡くなってから30日以内に役所に死亡届を提出する義務があります。死亡届には飼い主の名前などの情報、飼い犬の名前や犬種等の情報、老衰や病気などの死亡理由を書きます。これ以外にも、市によっては記載事項が増える事もあります。

またこの際、犬を登録した時に渡された鑑札と接種済票(届出該当年分のみ)も返却します。もし紛失しているのなら、担当者に必ず報告しましょう。

仮に死亡届を出さなかった場合、市は犬の死亡を確認できないため狂犬病予防ワクチンの接種を行うよう通達してきます。飼い犬は亡くなっているため、当然この通達を無視することになってしまいますが、その際に20万以下の罰金を支払わなければいけない事があります。

死亡届はインターネットでも受け付けていることが多いです。お辛いでしょうが、飼い主としての責任でもあるため、必ず提出しましょう。

大切なペットとのお別れ

飼い主として、ペットとずっと一緒にいたいと思うのは至極当然のこと。出来れば死についてなんて考えたくはありません。しかし、お別れの時間は必ずやってくるものであり、その状況になってパニックになってしまっては飼い主としての責務も果たすことができないでしょう。

ペットを大切に思えばこそ、最後の最後まで満足して旅立ってもらうために行動しなければいけません。今回の記事がその一助になれば幸いです。

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