人がストレスを抱えるように、犬も日々の生活でストレスを溜めてしまいます。ストレスを上手に解消できれば問題ありませんが、あまりに溜めすぎてしまうと生活習慣病やうつなどの精神病にかかってしまうことも……。
そんなことにならないように、飼い主が率先して飼い犬のストレスの原因を見抜き、解消してあげましょう。今回は犬がストレスを溜める原因や、効果的なストレス解消方法について解説していきます。
目次
犬がストレスを溜めてしまう原因
犬はとても繊細な動物です。自分よりも大きな人間が出す光や音に反応したり、家族同士の喧嘩にも怯えてストレスを溜めてしまいます。まずは犬がストレスを溜めてしまう原因を見ていきましょう。
飼育環境
犬を飼っている環境によっては、ストレスを溜めてしまう原因になりえます。犬は視力があまり良くなく、代わりに音や匂い、光などに敏感に反応します。そのため住宅街や都会などの車の音が常に響いている環境や、町の明かりが一日中点灯している環境は多大なストレスになってしまうのです。
また、来客が多い家も注意が必要。縄張り意識の強い子の場合、チャイムやドアの音などの『侵入者の気配』を感じただけで警戒することも多いです。特に犬へのスキンシップの方法をあまりよく知らない人は、犬が嫌がっているのにも関わらず触ろうとしてくるため、必要ならば犬をゲージの中などに隔離しておいた方がいいでしょう。
飼育環境繋がりでいうと、引っ越しもストレスを感じてしまいます。飼い主から見れば何日も前から決めていたことでも、犬からして見れば唐突に居場所を変えることになります。長距離移動、室内の変化、散歩コースがまったく違うなど、始めのうちはストレスの原因となる要素が多いでしょう。
もし犬が落ち着かないようであれば、一緒に寝てあげるなどして安心感を与えてあげてください。
家族の不仲
犬は本来群れで暮らす生き物であり、飼い犬にとって飼い主やその家族は群れの上位に位置する大切な存在です。そのため、特に家族の不仲などのトラブルには凄く敏感に反応します。たとえちょっとした口喧嘩であっても、犬によっては今後の生活が変わるかもしれないという認識をして、多大なストレスを抱えます。
特に家族の声は普段から知っているため、怒号のような大きな声にはかなり怯えてしまいます。また、犬は感受性の強い動物としても知られています。よく落ち込んでいる時に犬が寄り添ってくれるというようなお話を耳にしますが。逆に険悪な雰囲気も察知してしまうのです。
去勢・避妊手術をしていない
去勢・避妊手術をしていない犬には、発情期というものが到来します。より具体的に言えば、メス犬は6〜7ヶ月周期で発情し、オス犬は発情したメスにつられて発情します。発情期はおよそ2週間程度続き、その期間中は他の飼い犬と問題にならないように散歩の時間を変えたり、家から出さないなどの配慮が必要になってきます。
しかし、それはあくまで人間側のマナーです。犬にとっては「性欲という本能から交尾したい欲求に駆られているのに、その行為を強制的に封じられている」とストレスを感じてしまうでしょう、中には、メス犬のもとまで脱走してしまう子もいます。
ストレスを避けるためにも、繁殖を目的としていない場合は早いうちの去勢・避妊手術を検討しましょう。
犬のストレス解消法
犬がストレスを溜める原因が分かったとしても、それだけで問題が解決するわけではありませんよね。毎日溜めてしまうストレスを解消できる手段も必要です。ここではそんな効果的なストレス解消法について解説します。
適度な運動
私たち人間は映画や音楽、ゲームなどストレスを解消できる手段は山ほどありますが、犬は『外で思いっきり体を動かす』事がなによりのストレス解消法です。毎日の散歩はもちろん、定期的にドッグランやアジリティなどの時間を設けてあげましょう。可能であれば飼い主も一緒に楽しめるものだと、犬もより一層楽しめます。
ただし、過度な運動は関節や足を痛めてしまいます。犬種やサイズ、個体差によって運動量は大きく変わってくるため、自分の子にあった運動を心がけてください。始めは20分程度の軽い運動から始め、そこから犬のコンディションを見ながら調節する方法がおすすめです。
毎日のスキンシップ
犬にとって一番大切なのは、飼い主です。家族であり最も信頼できるパートナーである飼い主とのスキンシップは、飼い犬と飼い主との愛情を確かめるためにこれ以上のものはないといってよいでしょう。特に身体を使ったふれあいは、人間の言葉を話せない犬にとって自らの親愛を表現できる最大のコミュニケーションです。
単純なふれあいでも充分ですが、より効果的なのはロープやボールなどを使った遊び。犬はストレス解消のために何かを噛むという動作を起こしやすく、この欲求を満たせる上にスキンシップが出来るロープやボール遊びは良いコミュニケーションになります。
多頭飼育は先住犬が優先
ストレスのお話とはやや異なりますが、多頭飼育をする場合は『先に住んでいる犬』を優先させるのが基本です。これは新しい犬と先住犬との上下関係を生ませるためであり、この関係をはっきりさせておかないと、後々喧嘩の原因になりかねません。
もちろん、お互いが仲良くできるのであればそれが一番ですが、はじめから上手くいくとは限りません。お互いがお互いの気持ちに寄り添えるまでは、なるべく先住犬を優先しながら見守りましょう。
ストレスはあらゆる病気の元!
人も犬も、大なり小なりストレスを抱えて生きるものですが、決定的な違いがあります。それは、『人は自分だけの意志でストレスを解消できる』のに対して、犬は『飼い主の協力がないと効果的なストレス解消ができない』という点です。
日々の運動やスキンシップから始まり、生活環境や手術などは飼い主がいればこそ出来るもの。犬の一生を預かる以上、犬のストレスと上手に向き合っていけるよう心がけましょう。