老犬が夜泣きしてしまう原因と対策

犬の夜泣きは、1歳になるまでの間と老犬になった時が最も激しくなりやすいとされています。しかし、「年齢の問題」と放置してしまうと、それが病気だったり、ご近所とのトラブルの要因になったりと様々な問題へと発展する可能性があります。

今回は老犬が夜泣きをする原因と、それに対する対策についてお話ししていきます。

目次

老犬が夜泣きをする原因

老犬も年だからと夜泣きするわけではありません。『年齢が原因で引き金になった何かによって夜泣きをする』のです。まずは夜泣きの原因について見ていきましょう。

認知症

認知症は『老化によって行動や思考力が変化した』と見られがちですが、まったくの別物です。認知症は病気や障害などの様々な理由によって、生活に支障が出るほど認知機能が低下している状態の事を指します。発症する年齢は犬のサイズによっても違ってきますが、おおよそ10歳を越えたあたりから徐々にリスクが高くなっていきます。

では認知症がなぜ夜泣きと関わってくるのかという話ですが、認知症にかかった犬は昼夜逆転した生活を送るケースが非常に多いです。日中に寝てしまうため、夜中に眠れなくなり、結果として夜泣きが増えてしまうわけですね。

認知症は夜泣き以外にも、粗相の回数が増えたり、飼い主や親しい人の事をうまく認識できていないなどの特徴が見られます。

不安や痛みを感じている

人もそうですが、生物というのは老化によって五感が鈍くなったり、感情のコントロールが難しくなっていきます。夜中という獲物に襲われるかもしれない時間帯の中で飼い主をうまく認識できず、不安が大きくなってしまうのです。

また、老化によって筋肉量が低下したり、関節が痛くなりやすくなっているのもよくある原因の一つです。日中は痛みに我慢できても、夜中は痛みで寝られないためにストレスで泣きだしてしまう事があります。

こういった老化による変化は、飼い主によるサポートが重要になってくるため、愛犬の年齢に合わせた飼育を心がけましょう。

その他飼育状況に関するもの

老犬は、若い時と比べて日常生活そのものが大きく変化します。その結果、様々な理由がストレスになって夜泣きに繋がるケースも考えられます。よくある理由は『ご飯のタイミング』『夜中のトイレ』『深夜の音』です。順に見ていきましょう。

まず『ご飯のタイミング』ですが、これはご飯を食べるスピードや食事の量が変化するため、深夜にお腹が空いてしまい飼い主に要求する事があります。

次に『夜中のトイレ』ですが、これは夜中に起きてしまった時にトイレの場所を認識できないなどの理由で、排泄をしたくても出来ない状況になった時に泣いてしまう事があります。

最後に『深夜の音』ですが、これは外の車の走る音や風の音のことです。五感が鈍いからこそ、反応できる音には敏感に反応してしまい、恐怖から泣いてしまう事があります。

老犬が夜泣きをしたら

夜泣きは解決すべき問題であり、放っておいて良いものではありません。病気によるものなのか、それとも飼育状況によるものなのかをしっかり見極めて対策してあげましょう。ではここからは具体的な対策について見ていきます。

認知症の場合は獣医師に相談しながら

認知症が原因の場合、昼夜逆転した生活による自律神経や体内時計の乱れによるものとなります。軽度のものであれば、日中に無理をさせない程度の運動や陽の光を浴びさせる事で体内時計を戻す事ができます。

日中に寝ている場合は、可哀想ですが起こしてあげましょう。その後は二度寝したりストレスを溜めたりしないように、おやつや一緒に遊ぶなどスキンシップを忘れずに。

ただ、これはあくまで軽度の場合です。もし重度の認知症にかかっている場合は、獣医師と相談しながらサポートするようにしましょう。相談しにいく際は、動画や犬の状態を書いたメモなどを持参すると獣医師も状況を把握しやすくなります。

飼育環境の見直し

不安や痛み、その他飼育状況による夜泣きの場合は、飼育環境が年齢に合わせた適切なものなのかを見直してみましょう。

例えば、飼い主が近くに感じられないようなら寝る場所を近くさせたり、飼い主の匂いが付いている衣服を寝床に置いてあげると犬も安心できます。また、寝床のクッションをより厚みのある物に変えて関節の負担を軽減させるのも効果的です。

何が原因なのか分からないと難しいため、初めのうちはペットショップの店員や獣医師に相談しながら少しずつ見直していく事をおすすめします。

長く続くようならご近所への配慮を

夜泣きは原因にもよりますが、大抵は1日2日で治まるものではありません。もし長期間の対策が必要となるなら、前もってご近所に夜泣きの事を理解してもらった方が良いでしょう。

夜の声は響きますし、ご近所にはご近所の生活があります。「ペットの夜泣きがうるさいのに何も言わない」となれば、不要なトラブルを招く要因になりかねません。もし自分で言う間柄でない場合は、自治体に相談するのも手です。とにかく『ペットが夜泣きをしていること』と『ちゃんと対策を考えている』という事を相手に知ってもらうのが大切です。

もしも介護に疲れたら

夜泣きが続くと飼い主もぐっすり眠れませんし、ご近所への申し訳無さから精神的に追い詰められる事もあると思います。愛犬は可愛いものですが、それでも介護に疲れてしまったのなら、無理をせずにデイケアや老犬ホームの力を借りる事も視野に入れましょう。

自分だけで解決できるものであれば良いですが、そうでない時は誰か頼るのが一番です。デイケアや老犬ホームも、一生そこで面倒見てもらうわけではありませんし、少し一人の時間が必要な時などにお願いしてもらうだけでも心の余裕に繋がります。

夜泣きは放置していい問題ではありません

夜泣きは老犬になれば誰だってやる可能性のある行為ですが、「老犬だから仕方がない」と放置していいものではありません。ご近所には迷惑をかけますし、飼い主にも精神的な負担が出てきます。なにより、愛犬にとって良い状態ではないはず。

夜泣きは、理由はどうであれ飼い主に対して何らかの要求をしているという意味です。何をして欲しいのかを理解し、解決してあげる事で夜泣きは解消できます。「この子は何をして欲しいのかな?」と考え、時には病院や各種サービスの力を頼って、愛犬を夜泣きから救ってあげてくださいね。

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