「やっとペットを飼う準備が整った!」新型コロナウイルスの影響で家にいる時間が多くなってきた今、このように新たな飼い主となる人が増えてきています。毎日の生活に癒しを与えてくれるペットの存在は、今の時代こそ大きな心の支えになってくれるでしょう。
しかし、ペットは私たちと同じ命を宿す生き物です。そして、ペットが幸せに生きれるかどうかは飼い主の手にかかっています。だからこそ、今一度【ペットを飼う】という意味と向き合ってみませんか?
今回はペットを飼うなら覚えていきたい心構えについて解説していきます。
目次
ペットを飼う前に必要な心構え
ペットを【迎える】ことそのものはとても簡単です。しかし、【ペットを飼う】となれば、ちゃんとした準備が必要となってきます。まずはペットを飼う前に必要な準備や心構えについて解説します。
ペットを飼育できる環境であること
ペットを飼うなら、ペットを飼える環境でなければいけません。例えば、賃貸の場合は【ペット可】である事が最低条件です。「そんなの当たり前でしょう?」と思われるかもしれませんが、小動物ならバレないだろうと高をくくって隠れて飼っている人もいます。
もしペット不可の賃貸でペットを飼っているのが発覚した場合、強制退去や違約金の請求など小さくない罰則を課せられるでしょう。大家さんが禁止しているのにはそれ相応の理由があり、そしてそれを理解している人がそこに住むわけですから。もし飼いたいなら、素直に引っ越しを検討しましょう。
また、例えペット可の場所や持ち家であっても、飼いたいペットが快適に住める環境かどうか確認しましょう。特に部屋のサイズや周囲の騒音はペットのストレスに直結します。
同居人が了承していること
家族やペット可のシェアハウスなど、同居人がいる場合はちゃんと了承を得ていた方がいいでしょう。いくら自分が面倒見るといっても、ペットがいる時点で大なり小なり同居人を巻き込んで生活することになります。
何か急用で留守にする場合は同居人が面倒を見るでしょうし、鳴く動物なら夜泣きをしてしまう可能性もあります。もしかしたら、動物アレルギーを持っているかもしれません。同じ家に住んでいる以上、どうあっても【自分だけ】でペットライフを完結させることはできないのです。
犬や猫は10年以上、小動物でも数年は共に過ごすことになります。その間に引っ越しや病気、ケガなど環境の変化がないとも限りません。トラブルを避けるためにも、同居人と一緒にペットを飼っていくようにしましょう。
最期まで飼えるほどの経済力があること
ペットはどんな動物であってもとにかくお金がかかります。ペット自体のお金は元より、ペット用グッズなどの初期費用、ご飯代などの継続的な費用、医療費などの突発的な費用などなど……。犬の場合は狂犬病予防ワクチンや登録料も必要になってきます。
実際、ペットを捨ててしまう人の中にも、「飼うだけのお金が無くなった」という人は大勢います。オブラートに包まずに言うのであれば、どれだけ愛情を持って接したとしても、経済的な余裕がない限りは飼い主になるべきではないのです。
ペットを飼った後に必要な心構え
ペットを飼ったからって飼い主になるわけではありません。ペットのために時間やお金を費やし、何かあった時の責任を持てるようになって初めて飼い主になるのです。
ここではペットを飼った後の心構えについて解説します。
ペットのために時間とお金を使うこと
ペットを飼う前は、自分の時間やお金は自分のためだけにあったと思います。しかし、いざペットを飼えば、それをペットのために使わなければいけません。例えば、少し考えるだけでもご飯やペットとのコミュニケーション、健康診断などのための時間は必要でしょう。犬であれば毎日の散歩も欠かせません。
旅行の際も、短い期間ならペットホテルやペットシッターを利用することもできますが、ペットのメンタル面を考慮すると多用できるものではありません。遠出したいならペットと一緒に泊まれるホテルを探すことになります。
特に忘れてはいけないのがペットが高齢期に突入した後の介護です。医療費も高額になりますし、介護のためにより時間を割くことになるでしょう。白内障や認知症など、病気のリスクも跳ね上がります。今まで当たり前のようにあった自分の時間やお金は、【数年〜数十年】はペットのために使われることになるのです。
飼い主としての責任を持つこと
貴方が飼いたいペットは犬でしょうか?それとも猫?小さくて愛らしい小鳥もペットの定番ですね。しかし、この子たちは可愛らしい動物である一方、誰かを傷つけてしまう可能性があることは忘れてはいけません。犬の尖った歯、猫の鋭利な爪、硬い鳥のクチバシ……どれも大自然で生き残るために進化してきた強力な武器です。
ペットになった今も、本能が消えているわけではありません。自分に危機が迫った時や興奮した時、発情期に入った時は躊躇なくその武器を奮うでしょう。もしそれで誰かが傷ついた際は、そういう状況を作ってしまった飼い主が責任を負わなければいけません。いえ、そもそもそんな事態にならないようにするのが飼い主の務めでしょう。
誰かのペットが誰かを傷つけたという事件は決して少なくありません。「うちの子はそんなことしない」そんな油断が事件を招きます。ペットの躾けと、外に出す時はちゃんと見ていること、これが飼い主としての責任なのです。
高齢期について知っておくこと
人間もペットも、世の中の生物はいつか老いていくもの。骨は脆くなり、身体も思うように動かず、感情のコントロールさえ上手くできなくなっていくでしょう。もしペットがそうなった時、生活を支えていくのが介護であり、いずれ飼い主がやらなければならない責務です。
先述したように、ペットが高齢期に突入したら飼い主の生活が激変します。専用フードの切り替え、運動の仕方、健康診断や認知症になった時の対処など、いままで以上に時間とお金を使うことになるでしょう。今まで癒してもらっていた分、今度は飼い主がペットを支えていくのです。
ペットを捨てる人がいる現実
毎年殺処分される犬猫は約4万頭であり、そのほとんどが飼い主に捨てられた子達です。保健所も「可愛くなくなったから」や「引っ越しで飼えなくなった」などの安易な理由での引き取りを断るようになりましたが、それでも依然として多くのペットが捨てられている事実は変わりありません。
この事実は、飼い主にならないのであれば「可愛そう」や「許せない」と思う気持ちがあれば充分でしょう。しかし、自身が飼い主になるのであれば、より深い理解と覚悟が必要です。捨てた飼い主の全てが愛情を注いでこなかった人たちではないですから。
経済的な理由、病気や事故など(あくまで本人にとっては)やむを得ない事情で飼い続けることを放棄する人もいます。保健所を通さずに道に捨てる人も少なくありません。そして、飼い主になる以上は【自身がそうなる可能性】が完全にないわけではないのです。捨てた元飼い主だって、「こんなはずじゃなかった」と思っていることでしょう。
ペットを捨てる人がいる現実と、なぜ捨てるのかという理由を知ること。ペットを飼う以上、こうした闇の部分を見ることも大切です。
愛情を注ぐことと適切な飼育はイコールじゃない
ペットは可愛いですし、癒しを与えてくれます。しかし、だからといってただ甘やかしてしまってはいけません。飼い主となるからには、ちゃんとした躾けや栄養管理をしていく必要があります。特に近年は、簡単にペットを飼えるようになったからか、ペットの健康問題が深刻になっています。
ペットが美味しそうに食べるからとついつい食べ物を与えすぎたり、高カロリーなおやつを毎日あげてしまう人が多いのです。食事の基本は【摂取カロリーが消費カロリーを超えない】こと。可愛いからって好き放題させてしまっては、後の病気やケガに繋がります。
愛情は確かに大切ですが、適切な飼育も同じくらい大切です。ペットがいつまでも元気でいられるように、正しい知識と飼育をしていきましょう。