毎年、ほとんどの人が行く健康診断。その名の通り健康的な生活を送るために必要な診断ですが、当然ペットにも健康診断はあります。しかし、ペットの健康診断は様々な診察項目があり、初めて行くと何を選べばいいのか分かり辛いですよね。
今回はペットの健康診断の基礎知識や診察項目についてお話していきます。
目次
ペットの健康診断について
健康診断は当たり前にあるからこそ、その重要性や受けるタイミングなどについて考える機会が少ないです。飼い主にとっては、自分の健康以外にもペットの健康を考える機会にもなるかと思いますので、まずはペットの健康診断の基礎知識についてお話します。
健康診断の意義と必要性
そもそも健康診断はなぜ重要なのでしょうか。毎年当たり前のように病院で診断するため、改めて必要性について考えた事は少ないでしょう。答えは簡単で、『自分でも気がつかなかった病気の早期発見・早期治療』をするためです。病気の中には、自覚症状のないまま進行するものもあるため、そういった病気を見つけるために行います。
これはペットに当てはめたとしても同じことです。むしろ、自分で動物病院に行ったり、飼い主に分かる言葉で申告できない分、人間よりも重要性が高いといえるでしょう。特に飼いはじめの頃の動物は自分の弱みを中々見せないため、健康診断に行かないと飼い主もペットの不調に気が付かない可能性が高いです。
「もしかしたら……」と思った時点で危険な状態だったというケースもあります。ペットの健康診断は、そういった危険を排除して、安心なペットライフを過ごすために必要な事なのです。
健康診断のタイミング
人間は1年に1回健康診断を受けますが、ペットの場合はどのタイミングでどれくらい受ければいいのでしょうか。
まず、大前提として『飼い始めた直後』は必ず1回受けた方が良いです。野良の子を拾った時はもちろんですが、ブリーダーやペットショップを経由した時も、万が一の事を考えて健康診断を受けさせましょう。
その後は原則として『年に1回』で問題ありません。ただし、もともと身体が弱い子や、高齢期に入った子は状況に合わせて回数を増やした方が、病気の早期発見・早期治療に繋がります。
また、明らかに健康な状態であっても健康診断は必要です。体調に変化が出ない病気もありますし、例え本当に問題が無くても『健康な時のデータ』が手に入ります。このデータがあれば、獣医師も正常と異常の区別が付きやすいですし、病気が分かった際にも役に立ちます。
ペットの健康診断の診察項目
ペットの健康診断では、様々な診察項目の中からペットに必要な診察を受ける事になります。ここからは、特に代表的な診察項目について詳しくお話します。
飼い主と話す問診
問診(もんしん)では、食事の様子や生活の中で違和感を感じる場面はないか、排泄行為はしっかり出来ているかなどのお話を飼い主から聞いて、獣医師の視点から何か問題がないかを確認します。また、その後の診察項目と合わせて、生活を送る上でのアドバイスもしてくれます。
問診で必要な事は『小さな違和感でも申告する』という事です。「行動には違和感が無いけど、尿が少ない気がする」「偶に足を引きずっているような気がする」など、「〜気がする」レベルの小さな事から病気が見つかるケースは珍しくありません。普段から一緒にいる飼い主だからこそ気付ける違和感は、獣医師からすれば貴重な情報となるのです。
五感で確かめる触診・視診・聴診
健康診断の最も代表的な診断とも言える、触診(しょくしん)、視診(ししん)、聴診(ちょうしん)は、獣医師が五感を駆使してペットに異常がないか確認します。特に、ペットの心臓の音(心拍数)、しこりの有無、痛がる箇所の有無は、この診断で見つかる事が多いです。
また、動物病院によりますが、この項目で体重測定も同時に行います。体重の上下は病気の前兆や、病気に繋がる要因にもなる重要な要素ですが、急激に変化しない限り傍目から見て気が付きません。体重測定はそんな体重をしっかりと数値化する事で、病気の早期発見・早期治療の足がかりとなります。
身体の中を診る血液検査
血液検査では、ペットの血を採取して血液内のホルモン値や血糖値などを数値化して、貧血やホルモン値の異常、高脂血症などがないかを確認します。
ただし、ここで注意すべきなのが『調査の結果出てきた数値が必ずしも正常であるわけではない』ということ。検査は、あくまで正常値(基準値)の範囲内に入っているかどうかを診るものであり、数値よりも高い又は低いからといってすぐに病気になるものではありません。同時に、正常値の範囲内だから絶対に安全というものでもないです。
血液検査で出てくる数値は、あくまで血液内の異常を診るもの。ペットを飼った時から定期的に診断する事で、その子にとっての基準を見つける事でより信頼性が増してきます。
感染症などの有無を診る尿・便検査
尿検査はともかく、便検査は知らないという人も多いのではないでしょうか。通常、健康的な人間は尿検査しか受けません。しかし、ペットの場合は尿だけでなく、便の様子も重要になってきます。
尿検査では腎臓の異常がないか、尿路結石は出来ていないかなどを調べます。一方、便検査では寄生虫に寄生されていないかどうかを調べるのです。特に子犬や子猫など小さい時は寄生されやすい傾向にあるため、一度は便検査を受けたほうがいいでしょう。
その他の主な診察項目
診察項目には、これまで紹介したもの以外にも、『レントゲン検査』『エコー検査』『MRI検査』があります。これらはより細かな部分を診る事ができる検査項目であり、獣医師と相談しながら受けるかどうか決めるのが良いでしょう。
ペットの健康に必要なこと
健康診断は病気の早期発見・早期治療に必要な事ですが、では病気にならないためにはどうすれば良いのでしょうか。そう、普段の生活の要である『食事』『運動』『睡眠』の3つを大切にする事です。
食事は基本的に専用のペットフードがおすすめです。ペットの種類やライブステージに合わせた栄養がバランス良く含まれているため、極論を言ってしまえばこれを適切な量与えているだけで食事面は安定します。また、おやつは気分転換や偶のご褒美には効果的ですが、与え過ぎてカロリー過多にならないように気をつけましょう。
運動はペットの種類やその日の体調によって変わりますが、大切な要素である事に変わりはありません。犬なら毎日散歩させてあげたり、猫も室内で遊べる環境を整えてあげるようにしましょう。
睡眠は量も重要ですが、質に拘るのも大切です。雑音がないようにするのはもちろん、怪我や老化で身体が痛い場合はクッションなどを利用して寝やすい格好をさせてあげるよう心がけましょう。
ペットの健康のためにすべきこと
ペットの健康診断は、自分の大切なペットが病気になっていないか、ちゃんとした生活を送れているのかをデータや専門家に見てもらえる大切な機会です。普段の生活では気が付かない病気の前兆に対しても、獣医師からアドバイスを貰えるため、そういった意味でもありがたいですよね。
また、健康的な生活のためには診断してもらうだけでは足りません。食事、運動、睡眠といった基本的な事や、ワクチン接種などの病気の予防も必要です。ペットに安心安全なペットライフを送ってもらうためにも、飼い主だからこそ出来る健康管理をしていきましょう。